HOME > 住宅設計 > 建築家とのトラブル事例

家を建てるのに「雑誌やネットで見た有名建築士に設計を依頼したい。」
設計コンペで建築家の作品を競合させ、「自分の気に入った家を建てたい」などの話を最近は聞きますが,今日は建築家とのトラブルの例を書いてみます。
<その1>
この話は10年以前の話ですが、その建築家は中央では有名な、いわゆる「先生」と言われている方です。
仕事を依頼したのは地元大手企業の社長の息子夫婦、知人の紹介でその建築家を紹介されたそうです。
私は、建物の見積もりをしている建築業者から、普段と違う図面内容や、材料、収まりなので相談にのってほしいと依頼され、仕事上の付き合いもあり図面を見せてもらいました。
図面は基本計画図らしく、スケッチに毛の生えた程度の、配置、平面、立面、詳細な仕様書、50枚程度もある部分詳細図、確かに普段に住宅の積算をし、見積書を作成する図面内容と違います。
施主と親戚の建築業者の話では、この見積もり用図面が出るまでに、半年以上経過しているとのことです。
基本プラン打合せ(配置、平面、立面)に3ヶ月ほどかかり、1ヶ月後に詳細な仕様書が提出されたので、一般的な図面が提出されると思い待っていたら膨大な数の部分詳細図(しかもスケッチ)が提出されたそうです。
「これで見積もりしろといわれても全体の数量計算や、各部のつながりが読めないんですよ」確かにそのとおりです。
まるで「私の設計する建物は、そこらへんの物とは違いますよ、しっかり事前に予算確認お願いします」と図面が語ってます。
「この内容で施主はどの程度の予算を用意してるの?」と聞くと「正確にはわからないが、50坪で坪70万計算として3500万程度じゃない。」
建築業者は施主と親戚関係なので、おおよその予算内容はとらえているようです。
私が「とてもそんな坪単価では収まらないよ、坪100万は超えるんじゃない」というと、「とにかく見積書を作らないといけないんで、一緒に検討してはいただけませんか?」
おおよその見解をまとめ、業者は積算し集計をしたところ総額5800万と出ました。
あまりにも、かけ離れている想定予算に、建築業者は建築家に連絡し、設計変更や仕様の変更を打診したところ、「え、地方でもそんなに高くなるの、でも変更は一切考えていません」との返事だそうです。
そのまま、施主へ見積もり提出、施主も自分たちの予算と大幅に違うのに、同じように建築家に打診したところ同じ返事。
何故、このような状態になってしまったのでしょう。
さっするに、施主は建築家の作品にあこがれ、知人を介して紹介してもらい、予算的には漠然としたした話、建築家の方は自分の作品を理解して、自分の世界を受け入れた設計を希望しているとの考えからと思われます。
施主はあまり具体的な予算を言うと、建築家に失礼かなと思い多少の誤差は飲み込むような話はしたとのこと。
それが結果的に大きな誤算を産んでしまいました。
話はこれだけで済まず、結局、建築家の設計は採用しないだけでなく、建築家から半年に及ぶ基本設計料の請求で裁判沙汰、調停決着です。
10年以前の坪120万といえば、相当な内容の建物です。
一般庶民には考えられない、プライドが見え隠れした家づくりの話ですよね。
<その2>
今度の例は、知人の設計士に聞いた話ですが、最近ネット上で多く見られる設計コンペでのトラブルです。
施主は建築家のいろいろなプランを比較検討してみたい考えから、ネット上の設計コンペに申込み、数人応募の中から、まだ若いが斬新なデザインが気に入った建築家と設計契約をしました。
設計図を工務店3社に競争見積させたところ、全然予算が合いません。
一番安かった所と再度見積もり調整してもダメ。
「建物の形状と仕様を変えてもらわないと、とても予算に合いません]と建築家に連絡すると、「コンペの作品ですから変更は出来ませんので、予算を追加していただけませんか?」との答えだったそうです。
不足金額は1800万、依頼金額は3000万、どのような感覚で設計しているのでしょうか?
結局、コンペ企画サイトへ苦情をいれても「私どもは紹介システムですので、直接話し合って下さい」との返事。
建築家に設計契約のキャンセルの話をすると「設計契約料の半額はいただきたいたい」との返事だそうです。
あまりにも客を馬鹿にした返事、私はこの話を聞いてネットコンペがどのようなものか調べててみました。
登録建築家には経験豊富な方もいますが、全体的に若い設計士、作品集を見ると全体的にデザイン勝負、住宅作品集も建築した写真が掲載されているのはいいほうで、パースやデザイン図だけの建築家、本当に家を設計して建てた経験があるかどうかすら疑問です。
経験がなければ、実際の予算は当然把握できません。
住宅設計と言う言葉の中には間取りや外観のデザインだけでなく、構造設計、安全設計、設備設計、予算設計・・・など全ての住まいに対する要素が含まれます。
このように予算設計の出来ない建築家が、自分のデザイン力に酔いしれ、高所から施主を見下してはいないでしょうか?
予算を全く無視した家を設計して「依頼した予算に合わないからキャンセルなら設計料を半額出せ」では詐欺行為と同じではないでしょうか?
調べて見るとネットコンペ上では、このような事例は少なくないみたいです。
住宅は絵に描いただけでは設計とはいえません。
建物を実際に数棟て、材料、工賃などを実際に把握し、住空間の経験を踏んで初めて良い設計ができます。
そのために建築家は設計事務所や経験豊富な建築家の元で修行を積み独立していきます。
設計コンペというシステムは、経験に富んだ建築家が設計を競い合うのなら大変良いシステムであるとは思いますが、このような事例がありますので、注意してください。
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