
今、話題の太陽光発電は、集電する太陽電池パネルは可動しないので「メンテナンスフリー」といわれたいましたが、業界の不具合調査データーから、どうやら「メンテナンスフリー」と言うわけにはいかない事態になってきたようです。
太陽光発電システムは最新の技術の粋が集積された工業製品ですが、所詮は人間が作ったものですから、完全なものではなかったということでしょう。
では、どのような問題や不具合が発生しているのでしょうか?
メーカーの製造上の問題によるもの、施工業者の施工ミスによるもの、あるいは原因不明のものなど様々ですが注目すべきなのは、その不具合発生率の高さです。
産業技術総合研究所の研究者である加藤和彦氏による太陽光発電の設置者を対象とした調査結果では、何らかの不具合で交換・修理をしたモジュールが257件のうちの36件、14%です。
同じくパワーコンディショナーの交換が44件、17%となっています。
不具合の中でも問題視される発電量不足を招く原因の1つに、加藤氏は「ホットスポット現象」を挙げています。
「ホットスポット現象」とは、太陽電池の一部が発熱し抵抗を持ってしまい、ハンダ不良などの製造上の不具合の場合や、落ち葉の付着などもホットスポット現象を引き起こす原因の1つです。
何らかの物体によって太陽電池の一部が陰になってしまい、その状態が続くと陰になったセルが発熱する現象をいいます。
それに、太陽電池は直列に繋がれた回路の一部が陰になると、そこが抵抗となって全体の発電量が落ちてしまう性質があり、それを避けるために、最近のモジュールにはバイパスダイオードという装置が入っています。
この装置よって、どこかが陰になって発電量が落ちた時はその部分を回避して電流が流れるので、陰部分の影響が回路全体には及ばないようになっています。
ところが、このバイパスダイオードのために、長い間陰ができていることに気付かず、ホットスポット現象によって破損に至ってしまう場合もあるとのことです。
このようなリスクは、業界の一部の研究者により指摘されてきましたが、大きな話題になることはなく、発生の都度対処することで事なきを得てきただけであって、問題は以前から発生していたとのことです。
修理・交換に至るきっかけは、ユーザーが機器のエラー表示や発電量の不足に気付く場合と、メーカーの自主的なリコールによる場合があり、いずれの場合も保障期間中はメーカーが無償で交換修理を行うため、実質的にユーザーの費用負担は発生しませんが、現在一般的なメーカーの保障期間である10年が終わった後が心配ですよね。
太陽光発電は設備導入の原価償却に10~15年程度かかるといわれています。
減価償却が終わってこそ、太陽光発電導入の恩恵にありつけるのに、このような不具合や機器トラブルで修理費が発生したのではいつまでたっても、太陽光発電導入の恩恵にありつけません。
不具合の発生には、「施工業者の施工ミスによるもの」も指摘されますが、「太陽光発電はメンテナンスフリー」という伝説に甘え、施工業者の施工に対する意識の低さ考えられます。
今までの対応は市場拡大途上だったからそれでよかったのかもしれませんが、大きな市場となりつつある業界ですから、今後しっかりとした商品開発と施工業者への指導が望まれるでしょう。
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