
HMなどで打ち合わせをしていて、大枠がきまり「これでプランと見積もりをお願いします」というと「それじゃ仮契約をお願いします」と言われることがあります。
大手HMほど「仮契約」を交わさないと設計や見積に入らないというシステムが多くなってきました。
でもちょっとおかしいのです。
もともと「仮契約」などという契約はなく、便宜上の用語でしかありません。
注文住宅の場合「建築請負契約」ですから、「仮契約=請負契約」と一緒なのです。
例えば、「マンション」や「建売住宅」などは「売買契約」で宅地建物取引業法の規制がかかります。
しかし、「建築請負契約」には宅地建物取引業法の規制がかからないのです。
どう違うのかというと、「売買契約」を交わした後に買主の自己都合で契約を解除することとなった場合、宅地建物取引業法の規制により、売主が契約の履行に着手するまでは買主は手付金を放棄することにより契約を解除することができます。
しかし、建築請負契約の場合は、契約の解除にあたり手付金を放棄するだけでなく、建築請負契約に基づく違約金を請求されることがあります。
また、宅地建物取引業法で定められている手付金や違約金の上限額の規制(売買代金の2割以内)は、建築請負契約には適用されません。
便宜上の「仮契約」という言葉には「後でどうにでも・・」といった含みを持っていると思われがちですし、営業マンもそのような表現をして、「仮契約をしてくれれば後でどうにでも・・」を匂わせます。
しかし、契約を交わせばまったくのそのようなことは通用しなくなり、HMのペースで進行します。
何故このような「仮契約」をするのかというと、競争の激化に対抗する顧客囲い込み戦略なのです。
本来、「建築請負契約」は設計書を作りそれをベースに見積書が出来て、お互い合意の元に交わすものですから、大手ハウスメーカーの市場競争の原理を無視した横暴と言えるのではないでしょうか?
特に「いまなら何々の商品や特典が・・・」といったキャンペーン戦略で、HM商品に目が奪われている方が「仮契約」戦略の犠牲となっています。
「犠牲とはひどいんじゃない?キャンペンーに満足して選ぶのなら良いのでは・・」と言われるかも知れませんね。
しかし、キャンペンは一部のみ、基本となる建物は「仮契約」時点では大枠までの内容だけで、詳細の間取りや予算(見積)が見えていないのです。
いざ、設計図が提出され打ち合わせが具体化すると「後でどうにでもと言ったのに、さっぱり要望が通らない」「要望が通ればオプションだらけで予算オーバー」・・・と不満が噴出し「それなら解約を!」となります。
しかし、「仮契約」といっても「本契約」と一緒ですから、その時点で多額の契約金は返還されないと知らされ、泣く泣く我慢している人が現実には多いのです。
結局、お客様の目を引くキャンペーンなどにはこのような仕掛けが隠されているのです。
それなら、2~3社ほどの競争見積もりで進行した方が、冷静に比較検討の判断でき、コストダウンになりキャンペーン内容も追加で織り込めるかも知れませんよ。
ただし、競争見積もりであっても、「建築請負契約」は設計内容と予算が納得できた時点にしましょう。

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